事業代表者ごあいさつ

「CIN構想の加速・推進を目指したレジストリ情報統合拠点の構築」事業

 医学の進歩は、人類に大きな恩恵をもたらしてきました。多くの患者さんの協力 と医療者及び研究者の膨大な努力によって、臨床や研究における経験や知見が、新しい予防法、診断法、治療法を人々に届けることを可能にしてきたのです。近年は、これまでは原因すら分からなった疾患のメカニズムが解明され、新規の治療法が開発されたというニュースを聞くこともしばしばです。我々は、この医学の進歩を止めることなく、さらに推し進めていかなければなりません。

 一方で、医療に求める有効性と安全性の水準が高まっています。新しい予防法、診断法、治療法が、本当に有効なのか、どのような人に有効なのか、どのようにすれば安全に使えるのか、そのようなことを臨床試験を行ってデータによって示して初めて、新しい予防法、診断法、治療法として普及することが可能となります。医療に有効性と安全性を求めることは当然のことです。しかし、そのために新しい医療の開発に時間とコストがかかり、結果として医学の進歩の恩恵を人々が受けることを妨げる要因ともなってきていることも事実で、より効率的な医療開発を行うための取組みが必要となっています。

 本事業の背景となっているクリニカル・イノベーション・ネットワーク(CIN)は、患者レジストリ等を活用し、効率的な医療研究開発の環境整備を目指す厚生労働省の事業です。患者レジストリを含めて、従来の臨床試験の枠組み以外で得られるデータ、いわゆるリアルワールドデータの活用は世界的にもトピックとなっており、CINもこの世界的な潮流の中に位置します。当事業班は、CIN推進拠点として日本医療研究開発機構で採択され、2017年8月に活動を開始しました。当事業班の活動が医療研究開発を促進する一助となり、新しい予防法、診断法、治療法が1日でも早く人々に届けられることを願っています。        

  2019年6月
国立研究開発法人        
国立国際医療研究センター 理事長
                        國土 典宏